富士山の西麓、この景色を守るために。
初めて林業の世界に触れたのは小学5年生の時、戦後復興とともに拡大造林された森林の手入れでした。祖父に連れられ山林を肌で感じたのが最初の体験です。
時代の流れとともに森林を取り巻く環境にも様々な変化がありました。外材の普及による国産材の価値の低下、ウッドショック、近年では国産材への価値や森林の価値を改めて見直す時代に差し掛かっていると感じます。未来に向け、子どもたちに、目の前にある素晴らし景色、そして価値ある森林を残すためにできる選択が何なのかが求められています。森と海の連携。小規模林の集約化。より広い視野を持つ組織づくり。それぞれ簡単に実現できることではありませんが、一歩一歩進んでまいります。
富士森林組合 代表理事組合長
佐野和義
経営方針・経営理念
(令和6年~10年度/中長期経営ビジョン)
経営方針・経営理念
(令和6年~10年度/中長期経営ビジョン)
<経営理念>
富士の森林(もり)を豊かに、共育・共用・共生していく森林(もり)づくりを提案し、実行する 富士森林組合
<経営方針>
私達は『目的意識』と『価値観』を共有し次世代に愛される森林(もり)づくりを目指します。
☆J-クレジット制度を活用し脱炭素社会に貢献する森林整備を推進すます。
☆主伐再造林一体化施業を提案し森林所有者の経済的負担を少なく将来に向け持続性のある森づくりを目指します。
☆林地残材を有効活用し森林資源をムダなく付加価値を高めます。
☆ぬくもりの森林(もり)の創造・木(もく)利(り)エーション(木育・利用・リクリエーション)活動を発信します。
組織図
これまでの歩み
<戦後の林業の低迷>
富士山西側にある天子ヶ岳周辺や富士山南麓では古くから林業が盛んに行われておりましたが、富士宮市地域の多くの森林においては戦後の復興に向け将来の木材需要に対応するため進められた拡大造林政策等により植林されたスギ、ヒノキの人工林です。
しかしその後は木材輸入の自由化により価格の安い外国産木材が主流となり国産材需要が長期にわたって低迷しました。また、森林所有者一人当たりの所有面積が極めて零細な所有構造であることで単独で効率的な施業を実施する事が困難であったことも重なって森林施業が行き届かなくなっておりました。
<集約化施業への取り組み>
このような整備の行き届いていない小規模零細の森林を集約し路網整備や間伐等の森林施業を一体的に実施する「提案型集約化施業」を平成16年から本格的に取り組んできました。そしてこれまで私たちは市内60か所、854haの小規模な森林を取りまとめ集約化施業を実施してまいりました。(森林所有者累計626名、出材積8,900㎥)
<循環を意識する時代>
当初、間伐の繰り返しによる木材生産「長伐期施業」を想定してきましたが、16年の月日が経った令和2年に2回目の利用間伐を行うことが可能なのか調査をした結果、整備の行き届いていなかった森林においては、1回目の利用間伐から15年以上が経過した森林であっても資源量の回復が期待したほど高くない森林が多いことが分かりました。
また、齢級の偏りによる森林資源の持続可能性、気象変動がもたらす風害や記録的な集中豪雨等による突発的な山地災害が増加、林業従事者の減少と少子高齢化による人手不足とも相まって循環利用を意識する大きな転換期となっております。
<持続可能な循環型森林経営へ>
このような諸問題に向き合い持続可能な林業及び木材産業の安定化を図るため令和6年度から「主伐再造林一体化施業」、「森林経営の新たな収入源 J-クレジットの創出」等、実現に向けてスタート致します。